【実録】「毎朝のテスラ株のニュースをLINEに届けて」とAIに頼んだら、エリートアナリストの分析つきで届くようになった日

非エンジニアAIラボ第20記事アイキャッチ。LINE朝刊開始のキャッチ。Editorial風デザイン、キャラクター入り。 AIワークフロー

私のスマホには、毎朝8時に LINE が1通届きます。送り主は、私が AI に作らせた「テスラ・インテリジェンス」と名付けた仕組み。テスラ株、原油、米10年債金利、テクニカル指標(RSI)を見比べて、500字以内で「今日の市場の体温」「2つの両論」を1本のメッセージにまとめてくれます。

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全部、無料で動いています。

⚠️ 免責:本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資助言にもあたりません。AI が出力するレポートは情報整理ツールであり、投資判断はご自身の責任で行ってください。

朝、目を覚ましてスマホを見ると、こんな LINE が届いています(=実物のフォーマット):

📊 テスラ・インテリジェンス(11月10日)
━━━━━━━━━━━━━━
【1. 市場の体温】
TSLA: $XXX.XX(+X.XX%)
WTI: $XX.XX(-X.XX%)
米10年債: X.XX%(-X.XX%)
RSI(14): XX → 中立圏

【2. AI & FSD進展】
(本日のニュースに記載があれば、ここに書かれる)

【3. アナリストの視点】
🐂強気: [理由と目標株価]
🐻弱気: [理由と目標株価]

【4. 地政学 → テスラ直撃ライン】
(中東・原油・サプライチェーン混乱が、テスラの製造コストや納車にどう影響するか1行)

【5. テクニカル・一言診断】
(RSI・株価・地政学を踏まえた具体的アドバイス1〜2行)
━━━━━━━━━━━━━━

これを読んで、「ふむ」と一息ついてから1日が始まる。

(=投資をやっていない方も、自分の関心事を AI で毎朝LINEに届ける仕組みとして読めます。野球の結果、為替、天気、推しの動向、業界ニュース ── 「毎朝チェックしている15分の習慣」が何かしらある方なら、構造はそのまま流用できます)

これまでは、毎朝スマホで Yahoo!ファイナンスを開いて、テスラの株価を見て、ニュースサイトを巡回して、原油や金利の動きを追いかけて ── という作業を15分くらいやっていました。それが、スマホに届く1通の LINE で完結 するようになった話を書きます。

1. 発端 ── 「毎朝の株チェック、どうにかしたい」

私はテスラ(TSLA)を長期保有しています。長期保有のスタンスなので、毎日売り買いはしないけれど、それでも世の中の動きは追っておきたい。

特に注目しているのは、テスラに直接効く指標がいくつかあるからです。

  • TSLA 株価:本丸
  • WTI原油先物:エネルギー価格 → 電気自動車の競争環境に影響
  • 米10年債利回り:金利が上がるとテスラのような成長株は打撃を受ける
  • RSI(14):テクニカル指標、買われすぎ/売られすぎの判定

これら4つを毎朝チェックしつつ、テスラ関連の英語ニュース(FSD、Optimus、Dojo、xAI など)も見ておきたい。でも、毎朝15分は重い。

そう思って、Claude Code に「毎朝のテスラの状況を、LINE で1通にまとめて届けて」と頼みました。出てきたのが、想像以上に本気の仕組みでした。

2. 仕組みの全体像 ── 2段階トリガー、4つの登場人物

完成した仕組みは、こんな構造になっています。

朝7時:データ収集
  ↓
  ① Yahoo Finance から TSLA・WTI・10年債を取得
  ② Google News RSS からテスラ関連ニュースを9種類のクエリで集める
  ③ 集めたニュースを AI が1本ずつ要約・地政学スコア化・投資家ヒント化
  ④ スプレッドシートに記録
  ↓
朝8時:レポート生成 & LINE 送信
  ↓
  ⑤ 7時に集めたデータを AI が「エリートアナリスト」役で500字に統合
  ⑥ LINE Messaging API で私のスマホに送信

朝7時と朝8時で処理を分けている のがミソ。データ収集とレポート生成を別タイミングにすることで、片方が失敗しても全滅しないようになっています。

登場人物は4つの無料サービス:

役割使っている道具料金
動かす場所Google Apps Script(GAS)無料(Googleアカウントだけ)
株価データYahoo!ファイナンス(公開API)無料(認証不要)
ニュース取得Google News RSS無料(認証不要)
AI分析Groq API(Llama 3.3 70B)無料枠内で動く
通知LINE Messaging API月200通まで無料(=コミュニケーションプラン)

全部、お財布が傷まない設計。これが「自動化を試したい人」にとって心理的ハードルを下げる重要なポイントです。

3. データを集める ── Yahoo Finance + Google News RSS

株価データ(Yahoo!ファイナンス)

GAS の UrlFetchApp.fetch で、Yahoo!ファイナンスのチャートAPIを叩いて、株価を取り出します:

const tickers = [
  { key: "tsla",     symbol: "TSLA"   },
  { key: "wti",      symbol: "CL%3DF" },  // WTI原油先物
  { key: "yield10y", symbol: "%5ETNX" },  // 米10年債利回り
];

for (const t of tickers) {
  const url = `https://query1.finance.yahoo.com/v8/finance/chart/${t.symbol}?range=1mo&interval=1d`;
  const response = UrlFetchApp.fetch(url, {
    headers: { "User-Agent": "Mozilla/5.0" },
    muteHttpExceptions: true,
  });
  // ... 終値の最新と前日を比較して前日比%を計算
}

これは Yahoo Finance が一般公開しているエンドポイント。APIキーや認証は不要ですが、Yahoo の仕様変更や提供停止のリスクは常にあります(=本番運用で使うなら有償の公式 API を選ぶのが安全)。今回は個人の朝刊チェック用なので、このまま使っています。

ティッカーシンボルが CL%3DF のように URL エンコードされているのは、CL=F(=WTI原油先物の正式名)に = という文字が含まれていて、URL に直接書けないため。%3D= を意味します。

RSI(=テクニカル指標)を計算する

株価のリスト(過去30日分)から、RSI(14)を計算します。RSI は「最近の上昇幅」÷「最近の下落幅」で、買われすぎ/売られすぎを判定する指標。

if (rsi <= 30) data.rsiSignal = "売られすぎ水準";
else if (rsi >= 70) data.rsiSignal = "買われすぎ水準";
else data.rsiSignal = "中立圏";

シンプルですが、毎朝の 参考情報 として効きます(=これは売買のシグナルではなく、市況の状態を一言で見るためのラベルです)。

ニュース取得(Google News RSS)

Google News は、検索クエリを RSS フィードとして取れます。これも認証不要で無料:

const rssUrl = `https://news.google.com/rss/search?q=${encodedQuery}&hl=en-US&gl=US&ceid=US:en`;

私が指定している監視クエリは9種類:

const SEARCH_QUERIES = [
  "Tesla stock price TSLA",
  "TSLA analyst rating target price",
  "Tesla FSD full self driving v12",
  "Tesla Optimus robot Dojo AI",
  "Elon Musk xAI Grok",
  "Geopolitics oil price stock market",
  "Middle East oil supply chain",
  "US China trade war Tesla",
  "Federal Reserve interest rate bond yield",
];

テスラの本体動向、技術プロジェクト(FSD、Optimus、Dojo、xAI)、そして地政学・原油・米中関係・FRB金利まで網羅。テスラ株が動く理由はテスラ本体の中だけにあるわけじゃない という発想で組まれています。

4. AI で記事を1本ずつ分析する ── Groq + Llama 3.3 70B

集めてきたニュースを、AI に1本ずつ食べさせて「要約」「地政学スコア」「投資家ヒント」を抽出させます。

使っている AI は Groq の llama-3.3-70b-versatile。Groq は、Meta社が公開している Llama 3.3 70B モデルを 異常な速度 で推論できるサービスで、無料枠が広い。OpenAI互換APIなので、コードは ChatGPT と書き方がほぼ同じ:

const url = "https://api.groq.com/openai/v1/chat/completions";
const options = {
  method: "post",
  contentType: "application/json",
  headers: { "Authorization": "Bearer " + CONFIG.GROQ_API_KEY },
  payload: JSON.stringify({
    model: "llama-3.3-70b-versatile",
    messages: [{ role: "user", content: prompt }],
    max_tokens: 800,
    temperature: 0.3,
  }),
  muteHttpExceptions: true,
};
const response = UrlFetchApp.fetch(url, options);

temperature: 0.3 は「AI に冒険させない」設定。投資判断の素材を作る場面では、創作的な自由度より一貫性が大事なので、低めにしてあります。

記事1本ごとに投げるプロンプト

あなたは機関投資家向けの鋭いアナリストです。テスラ長期投資家に向けて、
以下のニュースを日本語で分析してください。

【記事タイトル】〜
【記事概要】〜
【検索クエリ】〜

以下の形式で、簡潔かつ鋭く回答してください。余計な前置きは不要です。

【要約】(3行以内で核心だけ。回りくどい表現禁止)
【地政学影響度】スコア: X/5、理由:(1行で)
【投資家目線のヒント】(今週注目すべき具体的アクション or 監視ポイント。1〜2行)

ポイントは「簡潔かつ鋭く」「余計な前置きは不要」と AI に明示すること。AI は放っておくと「以下に分析を示します」みたいな前置きを書きがちなので、それを禁止します。

抽出結果は スプレッドシートに記録 して、地政学影響度の数字に応じてセルの背景色を自動で塗り分けます(赤=4-5、橙=3、緑=1-2)。1日にどんなニュースが流れたかを、後から色で振り返れる仕組み。

5. エリートアナリストAI を作る ── ハルシネーション対策の考え方

朝7時のデータ収集が終わると、朝8時に 本番のレポート生成 が走ります。ここで AI に投げるプロンプトが、この仕組みの心臓部です:

あなたはテスラ長期投資家向けのエリートアナリストです。
以下は[今日の日付]の市場データとニュース分析結果です。

【市場データ】
TSLA: $XXX.XX(+X.XX%)
WTI原油: $XX.XX(-X.XX%)
米10年債利回り: X.XX%(-X.XX%)
RSI(14): XX → 中立圏

【本日のニュース分析】
(7時に集めた記事の要約・地政学影響度・ヒントを並べる)

これらを統合し、以下の固定フォーマットで日本語LINEメッセージを作成してください。
数値は市場データをそのまま使用すること。全体で500文字以内。分析は鋭く。

重要な注意事項:
- FSD・Dojo・Optimus・xAI に関する情報は、ニュース記事に明記されている内容のみ記載すること
- バージョン番号や具体的な数値は記事に書かれている場合のみ使用し、推測・補完は絶対にしないこと
- 情報がない場合は「本日更新なし」と明記すること
- 人名は一切使わないこと

注目してほしいのが 「重要な注意事項」 の4つ。これが ハルシネーション(=AIの嘘)対策 の核心です。

AI は、知らないことを聞かれても、何かしらそれっぽい答えを作ってしまう癖があります。投資判断に使うレポートでこれをやられると、危険です。「FSD v13.5 のリリースが間近」とか勝手に書かれて、それを真に受けたらマズい。

そこで、私は4つの「禁則」を AI に毎回投げ続けることにしました:

  1. 記事に書かれている内容のみ記載(=知ってることだけ書け)
  2. 推測・補完は絶対にしない(=自由創作するな)
  3. 情報がなければ「本日更新なし」と明記(=空白を埋めようとするな)
  4. 人名は一切使わない(=固有名詞でブレるな、客観性確保)

これだけで、AI レポートの信頼性が大きく上がります。「AI に自由に書かせない設計」 という発想は、自動化を作る誰にとっても応用できる考え方です(第16記事 では、5人の AI に「書かせない設計」で会議をさせた実例も書いています)。

6. LINE に届ける ── Messaging API の最小構成

完成したレポートを LINE に送る部分は、驚くほどシンプル:

const url = "https://api.line.me/v2/bot/message/push";
const options = {
  method: "post",
  contentType: "application/json",
  headers: { "Authorization": "Bearer " + CONFIG.LINE_ACCESS_TOKEN },
  payload: JSON.stringify({
    to: CONFIG.LINE_USER_ID,
    messages: [{ type: "text", text: text }],
  }),
};
UrlFetchApp.fetch(url, options);

LINE Messaging API でメッセージを送るには:

  • チャネルアクセストークン(=LINE Developers で発行)
  • 送信先のユーザーID(=自分の LINE ID)
  • メッセージ本文(=AI が作った500字以内のテキスト)

この3つを https://api.line.me/v2/bot/message/push に投げるだけ。LINE 公式アカウントの「コミュニケーションプラン」(=月額 ¥0) で月200通まで送れるので、毎朝1通(=月30通)なら無料枠の15%。余裕で収まります。

7. 全部「無料」で動く設計の話

この仕組みで使っている有料サービスは、ゼロ です。

道具月額
Google Apps Script¥0
Yahoo Finance¥0(公開API)
Google News RSS¥0
Groq API¥0(無料枠)
LINE Messaging API¥0(コミュニケーションプラン、月200通まで)
合計¥0/月

「自動化って、なんか高そう」というイメージを持っていた方には、ここが一番のメッセージかもしれません。お金がかかるのは、開発の時間だけ(=Claude Code に頼む時間)。私の場合は、Claude Max を月$100で使っているので、その費用感は第12記事に書いた通りです。

8. つまずきの記録 ── キー管理、トリガー、ハルシネーション

完璧に動いているように見える仕組みでも、作る過程ではいくつもハマりました。

つまずき1:APIキーをコードに直書きしていた

最初、私はソースコードの先頭に GROQ_API_KEY = "gsk_xxx..." のようにキーを直書きしていました。これは、外部にコードを共有したり、GitHub に上げたりすると キーが流出する致命的なミス

対策:本来は PropertiesService(=GAS にある「環境変数のような仕組み」)を使ってキーを別管理するのが正解。本記事の執筆中にこのリスクに気づき、流出した可能性のある古いキーを Revoke(=取り消し)して新しいキーに更新する作業を、記事公開と前後して進めています。これも「自動化を作る」過程で必ず通る学びでした。

つまずき2:トリガーが動かない

「毎朝7時と8時に動いて」と Apps Script に頼んでも、トリガーを明示的に設定しないと動きません。私のコードでは、setupTriggers() という関数を1回だけ実行して、時計型のトリガーを2つ作っています:

ScriptApp.newTrigger("runDailyDataCollection")
  .timeBased()
  .everyDays(1)
  .atHour(7)
  .inTimezone("Asia/Tokyo")
  .create();

これを実行し忘れると、コードを書いただけでは何も起きない。「動かないけど、なんで?」とハマったのが、この設定漏れでした。

つまずき3:AI が嘘を書いた

最初の頃、AI レポートに「FSD v13.5 が来週リリース」みたいな、根拠のない情報が混じることがありました。ハルシネーション です。

対策が、第5章で書いた4つの禁則。「推測禁止」「人名禁止」「情報なければ『本日更新なし』」 を毎回プロンプトに書き込むようになって、嘘の混入率がほぼゼロになりました。

9. 関連書籍 ── このマーカーが、いま生成したものです

この仕組みを作る過程で、AI への指示の書き方を本格的に学んだのが、こちらの本でした(=記事の最後に置く CTA も、私が作った別ツール mdcta のマーカー1個で展開されています):

📚 関連書籍で深掘りしたい方へ
『AI 思考 技法』
今回の AI アナリスト設計の発想も、この本に背中を押された。AIを「相棒」として使うための56の技法が一冊に。プロンプト設計でハルシネーションを抑えたい方や、思考の型を増やしたい方に。
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mdcta 自体については 第17記事 に書きました。

10. 次の記事 ── 「仕事の繰り返し」を AI に渡す連作

この記事は、新しい連作 「仕事の繰り返しを止める ── AIで作る自動化レシピ集」 の最初の1本です。連作のハブ固定ページは、近々 /work-automation/ に作る予定。

同じ連作で予定している入口・レシピ

別ラインで AdSense 審査結果(2026-04-29 申請、現時点で審査中)も控えているので、メールの到着次第その時点で連作に挟みます。

終わりに

毎朝、私のスマホには テスラ・インテリジェンス が届きます。書いたのは AI、届けたのは LINE、判断するのは私。

これは「AI に判断を任せる」ではなく、「AI に下準備を任せる」 という設計です。投資判断そのものは私がする。AI は、毎朝15分かけて4つの数字と9種類のニュースを集める作業を、私の代わりにやってくれているだけ。

「自動化って、AI に全部やらせること」ではなくて、「自分がやらなくていい作業を、AI に渡すこと」── そう考えると、応用範囲はものすごく広い。

仕事のメール返信、議事録、領収書整理、勤怠管理、家計簿、献立、子どもの宿題チェック ── どれも「下準備」の部分を AI に渡せる候補です。

100回繰り返す前に、自動化する側に回る。テスラ株版でした。

同じ立場で何かを始めようとしている方の、ちょっとしたヒントになれば。


続編記事

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